都内の自営業者Aさん(男性・37歳)は、平成15年9月、サラ金業者10社に対する389万円の支払ができなくなって都営地下鉄の広告で知った司法書士法人に自己破産の申立を依頼しました。
司法書士法人は10月に東京地裁に自己破産の申立書を提出しましたが、裁判所は不審を感じて、Aさんに東京3弁護士会の四谷法律相談センターに行くように勧め、四谷のセンターでクレサラ担当弁護士が改めて事件を受任しました。
クレサラ担当弁護士が改めてAさんの債務を調査したところ、Aさんの借入債務を利息制限法に照らして引き直すと71万円程度に過ぎず、反対にサラ金業者からは121万円もの過払金が返ってくることになりました。要するに、この司法書士法人は債務超過でないAさんを破産させようとしたことになります。
このクレサラ担当弁護士は、過払金121万円を回収して借入金71万円を完済して無借金状態にした上で破産の申立を取り下げ、更に、この司法書士法人に債務不履行(債務超過についての調査不足)に基づいて支払済の報酬20万円の返還を求める裁判を東京地裁に申し立てました。この司法書士法人は最初は争う姿勢を見せていましたが、何度かの期日の後の平成16年7月に結局は請求を認諾して20万円に利息・訴訟費用の全額を返してきました。
クレサラ担当弁護士は、以上の事実経過を踏まえて、11月4日に主宰していたI司法書士の懲戒を横浜法務局に申し立てました(司法書士法人は認諾の直後に解散をしているため相手方はI司法書士個人ということになりました)。
特に地方では司法書士が市民の債務整理の重要な担い手となっています。しかし、首都圏では派手な広告で依頼者をかき集め、事件処理を事務員に任せきってずさんな破産申立などをしている司法書士が数多く目につくことも残念ながら事実です。
現在、このクレサラ担当弁護士は本件以外に本件と同様の裁判を3〜4件程度処理しており、その他、司法書士から話し合いで賠償をさせたことがここ1年間で数件あるそうです。「司法書士が債務整理の事件を扱うためには能力も倫理観もある、ちゃんとした弁護士との提携が不可欠であり、稼がんかなの姿勢で機械的に事件を処理することがあっては絶対にいけないと思う」というのがこの弁護士の感想です。 |