コラム
弁護士コラム
21世紀の公証人制度を考える -日独公証人制度を比較して-
2004年9月25日
日弁連消費者委員会のシンポジウム「21世紀の公証人制度を考える-日独公証人制度を比較して-」が弁護士会館2階講堂クレオで開催されました。
最初にドイツの弁護士であり公証人でもあるトーマス・ミルデ博士からドイツ公証人制度の概要が説明され、その後、樋田誠日本公証人連合会理事長・河野信夫日本公証人連合会副会長・梶村太市元公証人や早稲田大学法科大学院教授・中山幸二明治大学法科大学院教授が参加し、江野栄弁護士やコーディネーターの新里宏二弁護士を交えてパネルディスカッションが行われました。
わが国の公証人法はドイツの公証人法を母法としていますが、ドイツの公証人には契約両当事者に中立公平な立場から契約内容を具体的に教示する義務が課され、これによって「予防司法」が実現しています。優秀で意欲的な若手法曹が率先して公証人となり、意欲的な職務活動をして、市民からも尊敬・信頼されています。
一方、我が国ではクレジット・サラ金・商工ローン、さらには、最近ではヤミ金まで従業員が債務者の代理人となって債務者から委任状を騙し取るようにして取得し、これに基づいて公正証書を作成し、本来、法律上、支払い義務がない場合であっても、一般市民が給料等に対する差押により、泣く泣く支払いを強制されるような事例が跡を絶ちません。
そこで、公証人法の母法のドイツの公証人を招いて、日本の公証人制度とドイツの公証人制度を比較して、これからの日本の公証人制度を、もう一度、立ち返って考えてみようという企画でした。
参加した公証人からは「日本にはドイツにない素晴らしい本人確認制度がある。それは『実印』と『印鑑証明制度』だ」と述べられていましたが、公正証書を作成する前に直接に本人の意思確認をしたり、公正証書の作成には法的にどのような意味があるかについての説明義務や賠償義務を負うことについては賛成は得られませんでした。また、シンポジウムの終了が宣言された後、日本公証人連合会の前理事長がマイクを奪い取って演説を始めるという予定にないパフォーマンスも見られました。
参加者をしたクレサラ担当弁護士の1人は、「予防司法領域は今後ますます拡大するのだろう、それをああした公証人に委ねることはチョット不安だな」と感想を漏らしていました。





