弁護士コラム

CFJ、プロミス、アコムは「悪意の受益者」(最高裁判決より)

1 最高裁判決

最高裁判所は、平成23年12月、大手消費者金融であるCFJ、プロミス、アコムに対する各判決において、同社らは、利息制限法に違反する利息を受け取っていたことにつき「悪意の受益者」であったから、顧客らに対して、過払金に「利息をつけて」返還しなければならない義務があることを明らかにしました(CFJとプロミスについて、平成23年12月1日の各判決、アコムについて、平成23年12月15日の判決)。

  この最高裁判例について、解説します。

 

2 利息制限法

利息制限法で定められた制限利率(年15~20%)を超える利息の契約は、その制限超過部分につき無効とされています。

そのため、借主が貸金業者に対して、上記の制限利率を超える利息の支払をしているときは、原則として(後述の「みなし弁済」が成立しない限り)、その制限超過部分については、利息として取り扱うことはできず、元本に充当して計算する必要があります。これを「利息制限法による引き直し計算」といいます。

その結果、実際には、貸金業者の計算(貸金業者が発行する請求書・領収書・明細書等の記載)よりも早く債務残高は減少し、いずれ過払金が発生します。

 

3 みなし弁済

ただし、旧貸金業規制法第43条によると、貸金業者が、貸付の際、遅滞なく契約書を作成・交付し、その契約書で「貸付の金額」「貸付の利率」「返済期間及び返済回数」「各回の返済金額」など法律で決められた内容をきちんと記載していたこと(契約書面交付の要件)、その他、一定の要件(受取証書交付の要件・支払の任意性の要件など)を満たしている場合には、利息制限法の制限超過部分についても有効な利息の債務の弁済とみなすこととして(この場合、法律用語で「みなし弁済が成立する。」といいます)、例外的に、利息制限法による引き直し計算をしなくてもよいことになっていました。

しかし、実際には、ほとんどの貸金業者が、上記の「みなし弁済」の要件を満たしていなかったので、原則どおり、利息制限法による引き直し計算が必要になるのです。

 

4 リボ払いのとき

たとえば、CFJ、プロミス、アコムの場合、いわゆるリボルビング方式の貸付をするとき、「返済期間及び返済回数」等をきちんと記載した契約書を交付していませんでした。

この点、最高裁平成17年12月15日判決は、貸金業者には、リボルビング方式による貸付の場合でも、個々の貸付の際に、確定的な「返済期間及び返済回数」等の記載に準ずる記載をすべき義務があり、このような記載をした書面の交付がなければ、みなし弁済は成立しない(利息制限法による引き直し計算をしなければならない)ことを明らかにしています。

したがって、CFJ、プロミス、アコムも、利息制限法による引き直し計算をした上で、過払金が発生していれば、これを返還する必要があります。

 

5 CFJ、プロミス、アコムは「善意」か「悪意」か

そこで、問題となったのが、CFJ、プロミス、アコムは、自社の取引について、利息制限法による引き直し計算をしなければならないことを「知っていた」といえるかどうか、でした。

もし仮に、これを「知っていた」(この場合、法律用語では、CFJ、プロミス、アコムは「悪意の受益者」であった、といいます。)とすれば、これらの会社は、過払金に「利息を付けて」返還する必要があるのです。なお原則として、貸金業者は「悪意の受益者」と推定されることになっています。

しかし、CFJ、プロミス、アコムが、自らの取引について「みなし弁済」が成立する(利息制限法による引き直し計算をする必要はない)と信じており、かつ、そのように信じることについてやむを得ないといえる特別の事情があった(この場合、法律用語では、CFJ、プロミス、アコムは「善意の受益者」であった、といいます)とすれば、これらの会社は、ただ単に、受領した過払金のみを返還すればよい(利息をつけなくてよい)ことになります。

 

6 最高裁平成23年12月判決について

この点、CFJ、プロミス、アコムは、「最高裁平成17年12月15日判決が言い渡されるまでは、リボルビング方式による貸付の場合でも、個々の貸付の際、確定的な返済期間及び返済回数等に準ずる記載が必要であることを知らなったから、善意の受益者である。」と主張していました。

しかし、最高裁平成23年12月判決は、この主張を認めませんでした。最高裁平成23年12月判決は、「最高裁平成17年12月15日判決の前に、下級審の裁判例や学説において、リボルビング方式の貸付については個々の貸付時に交付する書面に確定的な返済期間及び返済回数等に準ずる記載がなくてもみなし弁済が成立するとの見解を採用するものが多数を占めていたとはいえないし、上記の見解が、立法に関与した者によって明確に示されていたわけでもないから、CFJ、プロミス、アコムが、その記載がなくてもみなし弁済が成立すると信じることがやむを得ないということはできない」から、同社らは「悪意の受益者」である、としたのです。

したがって、CFJ、プロミス、アコムは「悪意の受益者」として、顧客らに対し、過払金を返還するときは、各過払金が発生したときから、年5%の利息をつけなければならないことになります。

 

7 過払金返還請求について

だいたい、年25~29%位の金利で借入をして、5~7年位の間、借入と返済を繰り返していると、取引途中の人でも、過払金が発生している可能性が高くなります。

また、それより短い取引期間の人でも、利息制限法(年15~20%)を超える利息で借入をして、すでに完済している方は、ほぼ間違いなく過払いです。

そして、「取引が終了したときから10年以内」であれば、いつでも、過払金の返還を請求することができます。

今回の最高裁判決により、CFJ、プロミス、アコムに対し、過払金返還請求をするときは、各過払金が発生したときから、年5%の利息をつけて、請求することができることが明らかになりました。

他の貸金業者であっても、ほぼ同様のことが当てはまることが多いと思われ、今回の最高裁判例の影響は極めて大きいと考えられるので、紹介します。


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