弁護士コラム

密着!弁護士の一日

2004年6月1日

午前10時、吉永百合子弁護士が事務所に行くともう依頼者が来ていた。昨日の夜、弁護士会の四谷法律相談センターから紹介のあった森野さんだ。
森野さんは43歳のサラリーマンで中規模の建設会社に勤めている。会社はなかなか厳しいようで、ここ2~3年は残業がなくなり、パチンコ好きで以前から消費者金融に手を出していた森野さんは支払に困って四谷法律相談センターにかけこんだとのことだ。最初に、どこの業者からいつ頃、いくら位を借りたのかを丹念に聞いていくのはクレサラ弁護士の常道である。「覚えてない」を連発していた森野さんも「そう言えば、結婚資金に使おうと思ってプロミスに行ったから...」。シメシメだわ。
「森野さん。ざっと計算しただけだから確かじゃないけど、利息制限法に引き直せば、何とか借金は半分以下にできそうですよ。破産は必要ありません。毎月3万円もあれば2年くらいで全部整理できそうです」

森野さんはポカンとした顔をしていたが、もう少していねいに説明をすると納得した様子で、うれしそうに委任状と受任契約書を書いていった。
本当はパチンコやお金の使い方についてもっと議論をしたかったけど裁判所の時間が迫っている。遅刻ギリギリで裁判所に駆け込むとちょうど「免責審尋」の時間に間に合った。

そこで次の依頼者の大谷さんに会いました。これは破産宣告を受けた依頼者に裁判所が免責をしても構わないかをチェックする手続きであり、法廷の中に依頼者の大谷さんと一緒に入るともう30人くらいの人が順番を待っていた。大谷さんの順番になると、裁判官は「大谷さん。申立後に何か変わった事情はありませんか」。簡単な質問で終わり。きちんと準備をしてから申立をしたので債権者も異議の出しようがなかったようだ。大谷さんには、これからの手続きの流れと「ヤミ金から借りていませんね。これからも借りないで下さいね。何か困ったことがあったら遠慮しないで連絡をして下さいね」。ちょっとくどいほど説明をしたが、大谷さんは予想外にあっさりと裁判所の手続きが終わったせいかニコニコしながら「はい。はい。」本当に分かっているのかしら。

午前中はもう1件。70歳で専業主婦の平賀さんはもう20年も消費者金融と取引をしていて、過払金だけで500万円以上も見付かっている。そこで、弁護士会のマニュアルどおりに消費者金融5業者に過払金返還訴訟を起こして、今日はその第1回目の裁判期日である。
法廷では、1業者だけが出席をしていて和解を希望するとのこと。期日が終わった後に過払金の全額に利息と訴訟費用を付けて返して貰うことにした。残りの4業者は答弁書を提出して欠席をしてきたが恐らくは次の期日までにはあらかた処理できるだろう。「借金は返すもの」と信じ込んで長い間苦労してきた平賀さんの喜ぶ顔を見たいので譲歩なんかしないでバシバシ回収しようと心に決めた。

法廷が終わると弁護士会の地下で冷やし野菜そば(500円也)を食べて神田法律相談センターに行く。
1人目の相談者は自分の借金のことより、弁護士費用を気にしている無職の男性の山藤さん。「山藤さん。私はここの法律相談センターでまだ弁護士報酬を最初に全部もらったことはありません。分割で当たり前。堂々としていて下さいネ」。ただ、話を聞いてみると、山藤さんはうつ病でとても今後も支払は無理。そこで、山藤さんの自己破産については法律扶助協会で援助を受けて処理をすることにした。

2人目の相談者は、青森で15年前に夜逃げをしていたら業者に見付かって督促の手紙や取立の電話を受けている50歳の中田さん。消滅時効で何とかなりそうだが、弁護士が間に入るのと入らないのとでは業者の対応は全然違う。弁護士から受任通知を出して取立をストップさせ、時効にかかった債務は支払を拒絶する方針で、この事件も受任することにした。

3人目の相談者は鈴木さん。鈴木さんのお父さんは家族に内緒で借金をしているらしく、どうにかして欲しいとのこと。いかに百合子弁護士でも本人に無断で債務整理はできない。鈴木さんには今度はお父さんを連れてもう1度神田センターに来てねとお願いする。お父さんが来たらこんな手続きもある、あんな手続きもあると説明していたら30分を過ぎて事務局から注意される。「先生。次の人が待ってますからそろそろ終わりにして下さい」。

そこで4人目の相談者の遠藤さんに相談室に入っていただく。遠藤さんは、まだ30前の女性だが、何と100社以上のヤミ金から取立を受けているという。そこで、遠藤さんとの相談は15分で打ち切り、そのまま一緒に事務所に来てもらう。
事務所に帰ってきたら事務員の和田君と一緒に事情の聞き取りだが、何せ100社以上だからいつまでも終わらない。そこで、作戦を変更して、とにかく取立の厳しい業者だけを集中的に聴き取り、都庁のHPで住所・電話番号を調べたり、FAXで受任通知を送り付ける。電話番号しか分からない業者には電話で「遠藤の代理人の弁護士よ!」。これでたいていはおとなしくなるが、100社以上もヤミ金がいれば何社かは明日もまだまだケンカが続くんだろうな。

遠藤さんの聞き取りはひとまずは事務員の和田君に任せて、明日の法廷の書面をこれから作ることになる。商工ローン業者を相手にして借金の支払義務を否定する「債務不存在確認訴訟」の最後の準備書面だ。商工ローン業者の裁判も少し前まで大事件だったが、最近、先輩の弁護士が最高裁で全面勝訴判決を勝ち取ってくれた。明日の準備書面はこの最高裁判決を前提にすればいいからどうにかなりそうだ。書面を作り終えるまでには和田君の聞き取りも終わるだろう。遠藤さんには若い身空でどうしてヤミ金なんかに手をだしたのかじっくり聞いて少し説教をしてやろう。

その後は和田君と一緒にビアガーデンでも行こうかな。


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